第三者保証

概要と重要性

第三者保証業務では、企業が開示するサステナビリティ情報や温室効果ガス排出量データ等について、独立した立場からその信頼性を検証し、保証報告書を発行します。財務情報と同様に、サステナビリティに関する非財務情報も投資判断や企業評価に不可欠となっており、その正確性・信憑性を担保する第三者保証の重要性が増しています​。統合報告書やCSR報告書、サステナビリティレポートに掲載される環境・社会データ(例:温室効果ガス排出量、労働環境に関する指標等)について、第三者の独立した保証を受けることで、情報開示に対する社内外の信頼を大幅に高めることができます​。

近年の国内動向としては、金融庁傘下のサステナビリティ基準委員会(SSBJ)が 2025 年3月に公表した開示基準によりが、プライム市場上場企業などに対し、温室効果ガス排出量を含むサステナビリティ情報の開示と限定的保証の取得を求める方向で制度化が進んでいます。これにより、財務情報と同じタイミングで開示される非財務情報についても、独立した第三者による検証が事実上の前提となる見込みです。

あわせて、政府が進める GX‑ETS(排出量取引制度)は 2026 年度からフェーズ 2 での義務化が予定されており、排出枠取引やクレジット創出の要件として、温室効果ガス排出量の第三者保証が必須となる方向が示されています。これら国内規制の強化を踏まえ、早期に保証枠組みを整備しておくことは、資本市場からの信頼性向上に資するだけでなく、将来の規制対応コストやリスクを低減する戦略的投資となります。

範囲と対象

当社の第三者保証は、以下のような幅広いテーマを対象としています。

組織レベルの温室効果ガス排出量の第三者保証

Scope1, 2及びScope3排出量算定結果の保証業務。

GX-ETS(GXリーグ排出量取引制度)向けの保証にも対応できる登録検証機関として、規定やガイドラインに基づき検証します。

サステナビリティ/統合報告書の第三者保証

統合報告書、サスレポ等に掲載される環境・社会・ガバナンスデータ全般の保証業務​。

国際基準(ISAE 3000)や国内指針に準拠し、報告内容の網羅性・正確性・透明性を検証します​。

製品レベルの温室効果ガス排出量の第三者保証

製品のカーボンフットプリント算定結果等の第三者保証業務。

製品ライフサイクル全段階のデータを対象に、ISO 14067や省庁のガイドラインなど関連基準に基づき保証します。

当社における第三者保証の特徴

各種基準に対応した第三者保証

ISAE3000(ISSA 5000)やISO14064など国際基準に準拠し、お客様の目的に適した保証範囲・レベルで検証を実施します。契約前から目的や現状課題を丁寧にヒアリングし、適切な基準を適用することで、保証報告書を発行します。国内外のガイドラインにも精通し、幅広い開示スキームに対応可能です。

最適化された審査計画

大手監査法人が用いる共通ツールに依存せず、国内制度と国際監査基準双方の要求を踏まえた自社メソドロジーと検証ツールを運用します。これにより、独立性と厳格さを維持したまま、効率的かつ適時に検証を完了させることで、報告期限に向けた手戻りの最少化を実現します。

GXリーグ登録検証機関

当社は経済産業省主管のGXリーグの登録検証機関です​。合理的保証をはじめとする高水準での温室効果ガス排出量検証にも対応可能です。

GXリーグ公式WEBサイト
サステナビリティ専門性と継続伴走

サステナビリティ領域で豊富な経験を積んだ有資格者を中心に検証業務を遂行します。第三者保証業務に必要な専門知識を社内研修で平準化し、常に高品質な価値提供を担保します。検証後も継続的に国内外のサステナビリティ情報をアップデートし、お客様へ必要に応じ最新の知見を提供するなど、長期的な伴走を実施しています。

当社による保証業務の進め方

第三者保証業務は規格に基づいた手続きに則り実施されますが、当社では国際基準に準拠した標準プロセスを前提としつつ、お客様の個別事情を考慮した進め方を採用しています。

STEP
検証計画策定

対象データと報告境界、適用基準(ISO 14064-1やGHGプロトコル等)の妥当性を確認し、初期リスク評価、調書作成を実施します。事業内容や算定フローをヒアリングし、関連資料をレビューして検証計画の骨子を作成します。

STEP
検証の実施

計画に沿って検証を行います。算定根拠となる資料の照合、関連する内部統制の評価、担当者へのヒアリング、現地訪問などを組み合わせ、エビデンスを収集します。当社の検証チームは有資格者や専門知識を有する検証人で構成され、重要な項目について相互レビューしながら精度の高い検証を行います。

STEP
発見事項対応

検証で識別された差異や不足情報について担当部門と協議し、是正や追加エビデンスを取得。修正後データを再評価し、残存リスクを確認します。

STEP
保証報告書の発行

検証の結果にもとづき、独立した第三者としての保証報告書を発行します​。限定的保証の場合は「提示された情報に重大な虚偽がないと確信する」旨の結論を、合理的保証の場合は「情報が重要な点において適正であると表明する」旨の結論を表明します。

第三者保証を受ける利点

  • ステークホルダーの信頼確保
    独立した保証報告書を得ることで、開示情報の信頼性を客観的に示すことができます。投資家や取引先、金融機関などにおいても資金調達や取引における信用力向上につながります。
  • 評価機関・格付けへの対応
    CDPやDJSIといったサステナビリティ評価において、第三者保証の有無はスコアリングの考慮項目となっています​。保証を受けることで評価得点が上昇し、結果として社外評価向上や取引実績の増加といった効果が期待できます。
  • レピュテーション向上とPR
    保証付きのCSR報告書やサステナビリティレポートを公表することは、自社の情報開示姿勢が真摯であることを示す強力なPRになります​。昨今問題視される「グリーンウォッシング」のリスク回避にも役立ちます​。信頼性重視の企業としてブランド価値を高めることができます。
  • 内部管理体制の強化
    保証業務を受ける過程で、自社のデータ算定プロセスや内部統制上の課題が洗い出されます​。発見事項への対処を通じて、環境データ管理の社内プロセスを改善し、将来的な効率化やリスク低減を図ることができます。いわば外部の専門家による「健康診断」を受けることで、経営管理の精度向上につなげることができます。
  • 将来の法規制・市場要請への先行対応
    今後、サステナビリティ情報の開示と保証は一層標準化していく見通しです。早い段階から第三者保証に取り組むことで、将来義務化された際にもスムーズに移行できる体制が整います。また海外展開企業にとっては各国規制への適合証明にもなり、国際的なビジネス展開を下支えします。

保証実績

プライム上場企業を中心に、幅広い業界で保証業務実績がございます。
下記は一部抜粋となります。

大手電力業

組織範囲
国内連結子会社

保証対象情報
Scope1、Scope2

効果
GXリーグ排出量報告へ向けて限定的保証を実施。報告に向けた効率的な集計・算定が実現した。

大手化学メーカー

組織範囲
国内外連結子会社

保証対象情報
Scope1、Scope2、Scope3(Cat1)

効果
外部評価向上を視野にCDP回答に向けた検証を実施。一度の検証で複数の外部評価寄与を実現した。

大手機械メーカー

組織範囲
国内外連結子会社

保証対象情報
Scope1、Scope2、Scope3

効果
サスレポ及び、ローン実行時の基準年、実施後の検証を実施。統合審査による効率化を実現した。

OSZAR »